学ぶ/沖縄の風景づくりの取り組み

那覇市立壺屋小学校(平成28年度)

壺屋のまちじまん! ~昔から今に続く壺屋の風景~


学習のねらい
  • 古写真を用いて壺屋のまちを歩き、地名の由来や歴史のこん跡から今昔の風景について学ぶ。
  • 伝統を守り育てる人達との体験交流を通して、やちむんのまちとしての壺屋の特色と魅力に気づかせ、地域を大切に思う心と態度を養う。
  • 各自が見つけた壺屋ならではのまちじまんをわかりやすく伝え、今後のまちづくり学習へ活かす。
学習活動
  • 社会科と連動し総合的な学習の時間を活用して、「壺屋のまちじまん」をテーマにまち探検を行い、まちの歴史や風景の今・昔、やちむんのお店、暮らしと信仰などに思考を広げた。各自の関心事からゲスト講師にインタビューし、今日の壺屋では使われなくなった登り窯の様子について読谷山焼窯の火入れを見学した。陶器祭りに参加しPR 活動等様々な活動を行った。わかったことをもとに新聞にまとめ発表を行った。 ( ※講師派遣、NPO 支援)

    ①H28.5.19  事前学習(社会科町探検)
    ②H28.6.28  壺屋のまち探検(※)
    ③H28.7.13  心に残った風景を記録( ※ )
    ④ H28.7~10 課題設定と調べ学習の計画準備
    ⑤ H28.11.8  ゲストの講話・インタビュー(※)
    ⑥ H28.11.9  読谷やちむんの里見学(※)
    ⑦ H28.11.18 壺屋陶器祭りに参加
    ⑧ H28.12~  学習のとりまとめ
    ⑨ H29.1.17  学習発表会(後日、博物館等で展示発信)
    ⑩ H29.2.2   振り返り

準備品

<まち探険・調べ学習>

  • 古写真・参考資料(博物館・NPO)
  • ワークシート・ルートマップ(学校)
  • 探検バック・水筒・帽子・筆記具(各自)
  • カメラ・補助記録紙・マーカー(学校・NPO)
  • 大型バス借用(NPO)


<制作発表活動>

  • 画用紙・画材道具・写真・文献等(学校・NPO)
  • 陶土(学校・NPO)
実施体制
  • 授 業 実 施/壺屋小学校
  • 事 業 主 体/沖縄県土木建築部都市計画・モノレール課
  • 協   力/那覇市都市計画部都市計画課都市デザイン室

          那覇市市民文化部文化財課

  • 企画・進行/景観整備機構(NPO 沖縄の風景を愛さする会)
  • 講 師 協 力/壺屋焼物博物館学芸員 比嘉立広

          やちむん通り会(育陶園)高江洲忠・啓子

          壺屋陶器事業協同組合理事長 島袋常秀

          壺屋町民会・自治会長 島袋文雄


学習の流れ

ふれる(5h)

H28/6/22【オリエンテーション】(1h)
概要
  • オリエンテーション:5月の社会科町探検後、古いものが残る壺屋への関心事から、総合的な学習時間を活用して、壺屋のまちを題材に風景学習を始めることを児童に伝える。
H28/6/28【壺屋探検】壺屋のまちじまん~昔から今に続く風けいを見つけよう~(4h)
場所
  • 小学校 → 壺屋散歩道 → 焼物博物館/ニシヌメー/下ヌカー/南ヌカー/やちむん通り → 東ヌカー/新垣家/ビンジュルグヮー → すーじ小 → 小学校
概要
  • 担任の指導で学級ごとに整列し、まち探検のねらいやルート、注意事項、各自の所持品を確認する。
  • 学校裏門から「歴史散歩道」を通り、やちむん通りへとつながるサインや舗装デザインの工夫に気づかせる。
  • ゲスト講師(学芸員、町内会長)から、壺屋の成り立ち、伝統行事等について話を聞く。
  • 古写真を参考に今昔の風景の変化の様子を捉え、気づいたことをノートに記録する。
  • 後日「壺屋の町」VTRを視聴し、皆で風景の今昔を振り返る。

児童の
反応
  • 壺屋の由来について「約330年前から焼物(壺)をつくっていた土地だから」との話に納得していた。
  • 博物館屋上から見るコンクリート群に驚いていた。
  • 古写真にある石垣やガジュマルの木、井戸が今も残っていることを知って「すごい!」と感動。昔より樹木が成長していることにも気づいた。
  • 「東ヌカーからスージ小に行くようにして馬車道があった」など、これまで知らなかった昔のまちの様子について各自、懸命に記録をとっていた。
  • ガス窯の煙突を発見し、壺屋が今でもやちむんづくりをしているまちであることを理解した。


つかむ(4h)

7/13【表現】(2h)
場所
  • 教室
概要
  • まち探検を各自で振り返り、心に残った壺屋の風景(場所・事柄)を個人の新聞に表現する。
7/20~10/6【課題設定と学習の計画準備】(4h)
場所
  • 教室


児童のウエビング書き込み例

概要
  • ウエビングにより、これまで学習で得た基礎知識を引出し、壺屋のまちイメージを共有する。その上で各自の興味につながる課題を見つけ、グループで調べ学習の計画、準備をする。
児童の
反応
  • 「壺屋といえば?」の問いかけに、焼物、古いまち、お店、登り窯、土地の神様、井戸などのイメージが確認できた。


広げる/ 深める(11h)

11/8 【調べ学習】壺屋を詳しく調べよう。(2h)
場所
  • 多目的室

概要
  • インターネット検索学習後に、ゲスト講師(博物館学芸員、育陶園、婦人会長)を招いて、壺屋焼の工程や昔の壺屋の様子、信仰、やちむん通りのお店について、さらに詳しく話を聞く。
児童の
反応
  • 「生ラチミソーリと登り窯の神様にお祈りしてから焼く」、「古いものが残る壺屋を大切にしたい」との話に聞き入っていた。
11/9【登り窯火入れ見学】読谷やちむんと壺屋のつながりを知ろう(4h)
場所
  • 読谷やちむんの里
概要
  • 赤瓦葺きの工房や登り窯の火入れを見学して、登り窯を使っていた頃の壺屋のまちをイメージさせる。
  • 島袋常秀工房と金城次郎窯を訪ね、焼物の制作工程を見聞する。読谷やちむんの里と壺屋のつながりを知る。

児童の
反応
  • 登り窯から立上る火煙に「ワー」と歓声があがった。往時の壺屋のまちの様子を想像した。
  • 常秀陶工のケロクロの技を食い入るように見ていた。

11/18【陶器祭り参加】(3h)
場所
  • 校内グランド
  • 国際通り、やちむん通り

「陶器祭やっているよ~」と笑顔でビラ配り

概要
  • キャリア教育の一環で陶器祭りに参加し、博物館出前授業や陶工達と交流から壺屋やちむんについて深く学ぶ。自作のビラを配布してお客の呼び込みを行い、自分と社会とのかかわり方を体験する。
児童の
反応
  • 各窯元の作品の特徴を捉えたり、通りを出て祭りをPRしたりと、各自が目標をもって祭に参加していた。
H29/1/27【焼物体験】面シーサー作り(2h)
場所
  • 校工作室

概要
  • 陶工から面シーサーの作り方を指導してもらい、作品づくりを通して壺屋やちむんの特徴とは何かを捉える。
児童の
反応
  • プロの指導に喜び、作品づくりに没頭した。


まとめる/ 伝える(15h)

12/20・21【編集会議】(2h)
H29/1/6~1/13【壁新聞づくり】(10h)
1/16【リハーサル】(1h)
1/17【発表会】(2h)
場所
  • 教室
  • ※発表会後に博物館ロビーや県庁ロビー、モノレール牧志駅で展示発信

概要
  • これまでの活動からわかったことをグループで話しあい、壁新聞にまとめる。自分の思いをわかりやすく伝えるために絵や写真を使い工夫する。
  • 発表の仕方に注意してリハーサルをする。
  • 発表会では児童主体で司会進行し、各自の成果、思いが保護者や友達に伝わるように発表する。
児童の
反応
  • これからの壺屋について考え、「陶工になって壺屋のまちを守る」「古いものが残る壺屋の魅力を伝えたい」「5年後に白い煙をふく登り窯ができるといい」などの意見があった。
  • 各児童が自分達の町として壺屋を捉えて、その思いを伝えるために頑張って発表していた。


振り返る(1h)

2/2
場所
  • 各教室
概要
  • 今年度の風景学習を振り返り、今後の学習に活かすことを考える。


児童の作品

「壺屋のまちじまん~昔から今に続く壺屋の風景~」をテーマにまち探検し、ゲストに話を聞いたり、登り窯の使われ方を調べるために「読谷やちむんの里」を見学したり、陶器祭りでインタビューしたりと、活動してわかったことを壁新聞にまとめ、発表した。


先生の声

実施にあたり工夫した点・苦労した点

  • まちのどんな良さに気づかせたいのか、目的や視点を明確にして活動を仕組まなくてはならないため、関係者との連絡調整が大変であった。
  • 壺屋焼物博物館やNPOの支援を受けまち探検で古い写真を活用した。児童により興味を持たせることができテーマに迫る手法として効果的であった。
  • 方向付けや活動の流れをくみたてる際、児童の関心や気づきを踏まえたものになっているか、大人の押しつけになっていないか等検討を行った。
  • ・「 やちむんのまち」として壺屋の特色や抱える悩み等を理解させるため、古い映像資料等を活用した。
  • 読谷の登り窯の火入れを見学できたこと、壺屋陶器組合理事長・島袋常秀さんが工房を案内して下さったことで壺屋焼とのつながりやまちの現状について実感を伴って考えることができ、陶工の思いも感じとることにつながった。


児童の反応

  • 「 風景学習」の様々な活動を通して、まちの歴史や伝統ある壺屋焼について知識を得ながら、他の地域にはない良さがあることを感じ取り、「昔から今に続く壺屋の風景」というテーマのもと、古いものを守り伝えることの大切さやそれがこれからも残ってほしいという願いをもつことができた。
  • 自分達の住むまちについて深く知ることにより、愛着や誇りをもつことができた。(手づくりのすごさや人間味にあふれるまちの良さがわかり、地域の伝統を残したい、壺屋が好きになったという意見が増え、将来陶工になりたいという児童もいた。)


教師として得られた点

  • 町の歴史、壺屋焼の伝統、景観について改めて見つめ直したり、「まちづくり」という視点で児童に何を学ばせるのか考えさせられることが多く、児童と一緒に活動することで様々な発見があった。
  • 「 子ども達のためなら」と快く講師を引き受けて下さった町の方の思いに感動した。そういう方達とふれあう機会をつくれたことが大きな成果だと思う。
  • 専門的見地からの話がとても勉強になり、今後の教育活動へも役立つと感じた。
  • 「 風景学習」で捉えた壺屋の「過去・現在・未来」という観点からの学びの成果はとても大きく、伝統ある壺屋地域を守り伝える力になればと期待している。


保護者の反応

  • 「 風景学習」の活動や発表会には保護者にも参加頂き興味関心を寄せて頂くことができた。活動を通して成長した児童の姿に感動し、保護者自身が地域を見直す機会を得ることにつながった。
  • 「 地域を深く学び未来の壺屋のまちを考えるには3年生ではかなり大変だったと思うが、みんなよく頑張って発表していた姿にとても感心した」、「親も地域を知ることが大切だと思った」、「今度、壺屋焼を手に取り、何か思いを巡らしてみよう」、「都市化をマイナスに受け止めず伝統が共存するまちの方向性を考えさせることも必要」、「この子達が大人になっても昔と変わらない温かい壺屋の風景が残ってほしいと思った」、「一人ひとりの個性が出て素晴らしかった」、「本物を見て心に感じるいい学習」、「今後もこのような取組みを是非継続してほしい」などの声があがっていた。

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