学ぶ/沖縄の風景づくりの取り組み

那覇市立壺屋小学校(平成29年度)

壺屋のまちじまん! ~昔から今に続く壺屋の風景~


学習のねらい
  • 古写真を用いて壺屋のまちを歩き、今昔の風景、壺屋焼、人の暮らしや信仰等について学ぶ。
  • 伝統を守り育てる人達との体験交流を通して、やちむんの里・壺屋の特色と魅力に気づかせ、地域を大切に思う心と態度を養う。
  • 各自が見つけた壺屋ならではの町じまんをより多くの人へわかりやすく伝え、今後のまちづくり活動へ活かす。
学習活動
  • 社会科と連動し総合的な学習の時間を活用して、「壺屋のまち自慢」をテーマにまち探検を行い、まちの歴史や風景の今・昔、やちむんのお店、暮らしと信仰などに思考を広げ、心に残った風景について新聞制作を行った。今日の壺屋では使われなくなった登り窯の様子を知るために読谷山焼窯の火入れを見学し、陶器祭りに参加してPR 活動を行った。様々な活動を通して捉えた壺屋の町じまんをグループごとに小冊子にまとめて発信した。 ( ※講師派遣、NPO 支援)

    ① H29.5.23   事前学習(社会科町探検)
    ② H29.6.7~21  風景学習オリエンテーション
    ③ H29.6.22   壺屋のまち探検(※)
    ④ H29.6.28   心に残った風景/ 新聞づくり(※)
    ⑤ H29.8~    夏休みの活動(壺屋焼物博物館見学)
    ⑥ H29.11.15   読谷やちむんの里見学(※)
    ⑦ H29.11.24   壺屋陶器祭りに参加
    ⑧ H30.1~    2学習のとりまとめ/ 発表準備活動
    ⑨ H30.2.14   学習発表会とふりかえり
    ⑩ H30.3.16   那覇市役所及び博物館で発信( ※ )

準備品

<まち探険・調べ学習>

  • 古写真・参考資料(博物館・NPO)
  • ワークシート・ルートマップ(学校)
  • 探検バック・水筒・帽子・筆記具(各自)
  • カメラ・補助記録紙・マーカー(学校・NPO)
  • 大型バス借用(NPO)


<制作発表活動>

  • 画用紙・画材道具・写真・文献等(学校・NPO)
  • 陶土(学校・NPO)
実施体制
  • 授 業 実 施/壺屋小学校
  • 事 業 主 体/沖縄県土木建築部都市計画・モノレール課
  • 協   力/那覇市都市計画部都市計画課都市デザイン室

          那覇市市民文化部文化財課

  • 企画・進行/景観整備機構(NPO 沖縄の風景を愛さする会)
  • 講 師 協 力/壺屋焼物博物館学芸員 比嘉立広

          やちむん通り会(育陶園)高江洲忠・啓子

          壺屋陶器事業協同組合理事長 島袋常秀

          壺屋町民会・自治会長 島袋文雄


学習の流れ

ふれる(9h)

H29/6/ 7・20・21【オリエンテーション等】(3h)
概要
  • オリエンテーション・事前学習:5月の社会科町探検後、児童の壺屋への関心事から、総合的な学習時間を活用して風景学習を始めることを児童に伝える。まちの景観や壺屋の良さについて自分達の考えや気づいたことを発信していこうと風景学習のゴールを示し、まち探検の仕方や古い写真から気づいたことを話しあった。
H29/6/22【壺屋探検】壺屋のまちじまん~昔から今に続く風けいを見つけよう~(4h)
H29/6/22【ふりかえり】(1h)
場所
  • 小学校 → 壺屋散歩道 → 焼物博物館/ ニシヌメー/下ヌカー/ 南ヌ窯/やちむん通り → 東ヌカー/ 新垣家/ビンジュルグヮー → すーじ小 → 小学校
概要
  • 担任の指導で学級ごとに整列し、まち探検のねらいやルート、注意事項、各自の所持品を確認する。
  • 学校裏門から「歴史散歩道」を通り、やちむん通りへとつながるサインや舗装デザインの工夫に気づかせる。
  • ゲスト講師(学芸員、町民会長)から、壺屋の成り立ち、伝統行事等について話を聞く。
  • 古写真を参考に今昔の風景の変化の様子を捉え、気づいたことをノートに記録する。
  • 南ヌ窯と新垣家・東ヌ窯について話を聞き、荒焼と上焼きの窯の違いを知る。
    育陶園工房
  • 育陶園工房に立ち寄り、壺屋焼の工程にふれる。
  • まち探検を振り返り、心に残った壺屋の風景を記録する。

活動記録

活動記録

活動記録

活動記録

活動記録

活動記録

児童の
反応
  • 「壺屋」の由来について約330年前から焼物(壺)をつくっていた土地だから、との話に納得していた。
  • 井戸や隠れシーサー、ガス窯の煙突を見つけては「まちには秘密がいっぱい」と喜んだ。
  • 今でも壺屋ではやちむんづくりをしていることが理解できた様子だった。
  • 壺屋のまちを彩る植物の香りやカタチを楽しんでいた。


つかむ(3h)

H29/6/28~7/5【表現】新聞づくり(3h)
場所
  • 教室
概要
  • 心に残った壺屋の風景について各自の新聞づくりを通して思い思いに表現する。

【自主学習】
概要
  • 夏休みの学習活動で、保護者と一緒に壺屋焼物博物館を見学する課題を与える。


広げる/ 深める(15h)

H29/11/16【事前学習】(2h)
【登り窯火入れ見学】読谷やちむんと壺屋のつながりを知ろう(4h)
場所
  • 教室
  • 読谷やちむんの里
概要
  • 登り窯が使われていた頃の壺屋の町の映像を視聴し、現在、使われなくなった理由について話し合う。
  • 読谷山焼窯の火入れを見学し、登り窯の活用と壺屋のまちについて各自の考えを深め、話し合う。
  • 島袋常秀工房と金城次郎窯を訪ね、焼物の制作工程を見聞し、読谷やちむんの里と壺屋のつながりを知る。

児童の
反応
  • 登り窯から立上る火煙のそばで、色味(焼き具合)を見る作業に立ち会うことができて感動していた。

H29/11/21~24 【陶器祭りの準備と参加】(5h)
場所
  • 校内グランド / 国際通り~やちむん通り
概要
  • キャリア教育の一環で陶器祭りに参加し、博物館出前授業や陶工達と交流から壺屋やちむんについて深く学ぶ。自作のビラを配布してお客の呼び込みを行い、自分と社会とのかかわり方を体験する。

「陶器祭やっているよ~」
「安いですよ~」

児童の
反応
  • 各窯元の作品の特徴を捉えたり、通りを出て祭りをアピールしたりと、各自が目標をもって祭りに参加していた。

 

H30/2/28【焼物体験】(2h)
場所
  • 工作室
概要
  • 陶工の指導のもと、ひもづくりの手びねりでコップづくりを体験する。

 


まとめる/ 伝える(12h)

H29/12/26【課題設定】(2h)
概要
  • ウェビングにより壺屋のまちのイメージマップを描く。また調べたい課題を確認し、テーマ・グループごとに分かれて発表計画を立てる。
H30/1~2月【制作・発表準備活動】(6h)
H30/2/13【リハーサル】(1h)
H30/2/14【発表会】(2h)
場所
  • 教室

    ※ 発表会後に那覇市ロビーで展示発信
    ※ 小冊子を焼物博物館へ寄贈

概要
  • グループで話しあい、テーマごとの役割を分担して小冊子づくりを進める。わかりやすく伝えるために絵や写真を使い工夫する。
  • 発表の仕方に注意してリハーサルをする。
  • 発表会では児童主体で司会進行し、各自の成果、思いが保護者や友達に伝わるように発表する。

児童の
反応
  • 多くの人に壺屋の良さ、風景を知ってもらおうと意欲的に制作・発表準備に取組んでいた。
  • 「石敢當はどこから来たでしょう」などクイズを出しながら発表を進めていた。
  • 壺屋のまちに対する児童の愛着と誇りが伺えた。


振り返る(1h)

H30/2/15
場所
  • 教室
概要
  • 今年度の風景学習を振り返り、今後の学習に活かすことを考える。


児童の作品

「壺屋の町じまん~昔から今に続く壺屋の風景~」をテーマにまち探検し、登り窯の使われ方を調べるために「読谷やちむんの里」を見学、また陶器祭りでインタビューしたりと、活動してわかったこと(まちの景観や人の暮らし、壺屋の良さ等)を小冊子にまとめ、発表した。


先生の声

実施にあたり工夫した点・苦労した点

  • 壺屋焼物博物館やNPOの支援を受けまち探検で古い写真を活用した。児童により興味を持たせることができテーマに迫る手法として効果的であった。
  • 始めの段階で、まちの景観や壺屋の良さについて自分達の考えや気づきを発信するという風景学習のゴールを示していたので、児童の意識を一つに向けることができた。壺屋の歴史や風景の今昔、壺屋焼、人々の暮らしや信仰等、ねらいとする方向へ自然に児童の関心が向いていたので良かったと思う。
  • 今年度は、多くの人に読んでもらえるよう小冊子にまとめた。より発信を広げていけるような工夫をすることで、児童の意欲をさらに引き出すことができた。また、夏休みの壺屋焼物博物館の課題や個人で調べる過程で保護者の関わりもあり、保護者の関心が高まったようだった。
  • 読谷の登り窯の火入れを見学できたこと、壺屋陶器組合理事長・島袋常秀さんが工房を案内して下さったことで壺屋焼とのつながりやまちの現状について実感を伴って考えることができ、陶工の思いも感じとることにつながった。


児童の反応

  • 壺屋の町の方から直接昔の話を聞いたり、見学(東ヌ窯、育陶園、読谷やちむんの里等)させてもらえたことが貴重な体験として残ったようだ。
  • 「風景学習」の様々な活動を通して、まちの歴史や伝統ある壺屋焼について知識を得ながら、他の地域にはない良さがあることを感じ取り、「昔から今に続く壺屋の風景」というテーマのもと、古いものを守り伝えることの大切さやそれがこれからも残ってほしいという願いをもつことができた。
  • 自分達の住むまちについて深く知ることにより、愛着や誇りをもつことができた。


教師として得られた点

  • 児童と一緒に活動することで様々な発見があった。
  • 壺屋の「過去・現在・未来」、「まちづくり」という視点で、町の歴史、壺屋焼の伝統、景観について改めて見つめ直すことができ、今後の教育活動へも役立つと感じた。
  • 地域のその人にしか語ることができない話を聞いたり、陶器祭など地域の活動に積極的に参加したりという経験は児童にとって将来の地域貢献に大きくつながると思う。キャリア教育において重要なことを再確認できた。


保護者の反応

  • 「風景学習」の活動には保護者の方がたの参加協力や興味関心を寄せて頂けた。児童の堂々たる発表に感動し、周りの大人が地域を捉え直す機会を得ることにつながった。
  • 「発表会前に子どもがやちむん通りを案内してくれた。“南(ふぇー)ヌ窯”“下(しむ)ヌカー”等のイントネーションまで親が厳しく指導されて勉強になった」、「伝統を子ども達が大切に受け継げるよう、私たち大人も見過ごしていたまちにもっと目を向けていきたい」、「壺屋のまちなみや壺屋焼の特徴、瓦の重なり方等とてもわかりやすい発表に大変感心した」、「お互い声かけあってチームワークの発表。身になる学習ができていると感じた。」、「発表する姿が頼もしく大人が勉強になった」、「絵、写真、色つきで見ていてとても楽しめた。皆で作り上げた発表会なのが伝わった。」、「自分のまちを好きになることができてよかった」等、声があがっていた。

ページの先頭へ戻る