今に残る城下町の風情

今帰仁村のシンボルといえば、世界遺産に登録されている「今帰仁城跡」ですよね。その城下町である今泊集落は、昔ながらの風情が残る趣のあるエリアなのだそうです。普段はあまり足を踏み入れる機会がないこの場所をのんびり散策してみました。

車が行き交う国道505号から集落の中に入ると、一変して静かな住宅街。ふと横の路地に目をやると、真っ白な石が敷き詰められたキレイな通りがありました。これは、「宿道(スクミチ)」といわれる昔の国道です。整備された歴史ある道の両脇には、瓦屋根の家や、現代風のおしゃれな外観の家が並んでいます。道端に「ゆんたく」と書かれたベンチがありました。きっと近所の人が集まって、井戸端会議をする場所なんでしょうね。住宅街の何気ない細道が昔の大切な幹線道路である宿道だなんて、ちょっと驚きです。

今泊のメインストリートは、今泊公民館が建つ「大道(ウフミチ)」。通りにはフクギ並木や石垣が続いています。公民館前に立つひと際大きな木は、天然記念物「今泊のコバテイシ」。樹高約18m、胸高周囲4.5m、推定樹齢300~400年で、以前はこの木の下で豊年踊りや競馬が行われていたそうです。コバテイシには夏から秋にかけて甘酸っぱい実がなり、特に台風の後にはたくさんの実が落ちるので、子どもたちは早起きして実を拾ったそうですよ。コバテイシの大きな幹によじ登って木登りを楽しんだり、横に伸びた枝を伝ってスリルを味わったりして、かっこうの遊び場所だったようです。目を閉じると、当時の子どもたちの楽しそうな笑い声が聞こえてきそう…。

大道からさらに奥へ進んでみましょう。集落を抜けると、目の前に真っ白な砂浜と青い海が広がりました。「シルバマ」と呼ばれる今泊のビーチです。集落との間には、防風・防潮林が連なっています。ここでもうちょっと波の音を聞きながら休んでいきますね。